家庭基礎で高齢者福祉を学ぶときに
体験的に学ばせる方法として
「高齢者疑似体験」、「高齢者との交流」、「高齢者から学ぶ」、「高齢者との関わりについてDVDを見る」など
高齢者施設訪問など様々なことが考えられる。
生徒の実態や学校の環境などによって検討したいが
コロナ禍では、ずいぶん制限が多かった。
今後少しずつ、体験の選択肢が広がってくることを期待している。
現在私が勤務している学校では
令和3年度から「認知症サポーター養成講座」を導入している。
認知症サポーター養成講座を導入した目的
①地域の高齢者の現状についての理解を深めさせる。
②認知症の原因と症状について正しく理解させる。
③認知症高齢者への対応を体験的に学ばせる。
高齢期の生活のマネジメント授業計画(6時間)
①60年後の自分を想像する
②高齢期を知る
③高齢期の生活を支える(ここで認知症サポーター養成講座を受講)2時間
④高齢者福祉を知る
準備、計画
①管理職に認知症サポーター実施の了承を得る。(6月)
②地域包括支援センターに連絡し、認知症サポーター養成講座実施を依頼する。(6月)
本校実施の際は、本市が高校生向けの講座を実施することは初めてであり
できるかどうかを検討していただいた。
小学生への実施内容をお知らせいただき
家庭科教科書の内容や、実施計画と講座の位置づけを説明するなどして
すり合わせを行い、実施内容を決定していった。
③校内での実施に関する決裁と並行して、地域包括センターとの日程調整(7月)
④本校にて打ち合わせ、教室環境の確認をしていただく。(8月)
⑤実施(9月~11月)
講師のご都合もあり、日程には柔軟に対応できるよう校内行事との兼ねあいなど
幅を持たせておくことが必要。
※留意事項
①講座実施記録として写真を撮るので、生徒写真の利用について確認をとっておくので
場合によっては教室後方のみからの撮影など、気を付けておくことが必要。
②認知症サポーター養成講座の受講者名簿作成のため、
生徒名簿が必要となるので、提出について管理職について確認しておくことが必要。
参考までに校内決裁用文書(実施要項案)の例を下に示します。
内容も含めて例なので、それぞれの自治体や学校の状況に応じて
変更を加えて使用願います。
認知症サポーター養成講座実施要項(案)
認知症サポーター養成講座の内容
この講座は、地域の社会福祉協議会が実施主体となっており
講師には、県認知症疾患医療センターの相談員さん(精神保健福祉士)等3名が担当していただいている。
1 講座の流れ
①開会 関係者自己紹介、〇〇市の高齢者の現状
②講義
・認知症サポーターとは
・認知症について(中核症状、周辺症状、治療・診断、接し方、予防)
③事例研究ワーク DVD、寸劇
④閉会 オレンジリング授与、生徒感想発表、全員記念撮影
2 具体的内容
(1)講義
①認知症サポーターとは
②認知症って何?
③あなたのまわりでできることを見つけてみよう
④認知症を予防するには?
⑤困ったときの相談先は?
(2)演習 認知症の高齢者の家族の状況をドラマとしたDVDによる事例学習
☆視聴しながら生徒に考えさせること
①認知症の方の様子について気付いたことは何?
②認知症の方が家にいるにもかかわらず
「自分の家に帰るよ」といった理由は?
③もし自分が認知症になったらどう思うか?
④認知症の方が暮らしやすい環境を考えてみよう!
(3)演習 ロールプレイング
①道に迷っている高齢者を、不安がらせずに声をかけ家に送る状況
②家の中で財布を盗られたという高齢者を不安や怒りをしずめながら
財布を探す状況
生徒の感想
(1)講座について
「理解できた」「まあまあ理解できた」を合わせると全員が理解できている状況が分かる。
具体的には、「認知症の方に対してどういった関わりをすればよいかわかった」
「認知症の主な症状、対応、認知症患者の気持ちがわかった」
「説明も分かりやすく、劇など参加型だったので楽しく理解できた」など
(2)認知症の方に対してどういう風に接しようと思ったか
全員が肯定的にとらえ、優しく接したいなどの気持ちの動きがあったことが分かる。
具体的には、「よい例と悪い例を見せてもらったので、
よい例に従って優しく対応しようと思う」
「認知症の人の気持ちを考えて怒ったりせず、仲良く接しようと思った」
(3)その他意見として、「これからもっと広めてほしい」という意見もあった。
おわりに
社会で活躍している高齢者や、元気に生活している高齢者・・・誰もがいつまでも
そうありたいと願っているが、やはり、加齢による心身の変化は誰にでも起こり
病気や認知症になる可能性もある。
生徒は、専門的な講義により、認知症の中核症状と行動・心理症状について理解し
周囲の対応により行動・心理症状は軽減したり治る可能性もあるので
適切な対応の大切さをしっかりと学べていた。
認知症サポーターとなったことをきっかけとして、さらに認知症だけでなく
高齢者への理解を深め、自分自身のこととしてとらえるように学び続けてほしい。
認知症サポーターは、本人の資格として履歴書への記載も行われているものであることを
申し添える。

