家庭基礎 楽しいガイダンス!

新しい年度が始まった。今年も私立高校で家庭科の非常勤講をすることになった。
年度初めの授業は、1年間の授業の良否を左右するといっても過言ではない。
先生方は皆さんガイダンスにあれこれ工夫を凝らされているのではないかと思う。

はじめに~ガイダンスの考え方~
教材探し
授業の流れ
生徒の様子
生徒の感想
おわりに~生徒の得たもの~

はじめに~ガイダンスの考え方~

ガイダンスは高校家庭科との出会いの場なので、単なるシラバスや評価、授業準備の説明に終わらせたくない。
1年生は新学習指導要領での実施となることから、教科書も一新されており、どのように使いこなしていくか、春休み中にぼちぼち考えてみた。

教科書を見ていたら、まずカラフルになったな~と関心。目次をみると、章番号が色分けされていた。赤、緑、黄色、オレンジ、ブルー、ネイビー・・・・
インデックスのように教科書の小口には、目次の章番号と同じ色がつけられている。
かわいらしくて目を引くなあ~。
SDGsに関するページもとてもカラフル。

・・・・

私にとって色といえば、シンディ・ローパーの「True Colors」
「人の色=個性はそれぞれ違うもの 自分の色で光りなさい」と歌っている。
色・・・いいんじゃない?何か使えない?
教科書もカラフルだし、今年のガイダンスのコンセプトは「True Colors」
SDGsのシンボルマークも頭をよぎった。

色を使って生徒に表現してもらおう!

教材探し

さて、そうなると教材探しである。
あまり密にはなれないけれど、違う中学校出身た子どもちとも作業をとおしてコミュニケーションとれるといい。

教材は下の3つの条件で考えた。
①生徒が、みんな違う発想で色を使い何かを楽しく形作れること。
②上手だ下手だとならず、それもいいね!これもいいね!とお互いを認められること。
③難しい道具や操作がいらないこと。

 

 

思い浮かんだのは、ペットボトルの素材で作るプラ板チャーム。
①透明の板に自由に絵を描き、好きな彩色をしてつくれる。好きなものが描けるから楽しい。
②描いたものがそのまま生きるのではなく、板は縮んだり曲がったりするから、それぞれ独特の良さが出る。
③ペットボトルと数色のペン、オーブントースターがあればできる。焼いたものを水につけて冷やすだけ。

作り方は簡単。
①ペットボトル(炭酸のものがよい)を4㎝角くらいの板状に切る。
②パンチで穴をあけ、ひもを通すところを作っておく。ただし、ペットボトルはどう曲がるか予想がつかないので、この穴が中に入り込んでしまうこともある。それはそれで、どこか通せる場所があるから大丈夫。
③でき上った板に、油性ペンで好きな形を描き、好きな色を塗る。ペンは黒も含め6色くらい準備しておくとよい。
④描き終えた板を、アルミホイルに乗せオーブントースターで焼く。火力にもよるので、様子を見ながらクルリンと巻きあがったらできあがり。
⑤熱いので気を付けて取り出し、水につけて冷やす。
⑥革細工で使う少し太めの蝋引き糸を15㎝くらいに切って、できたプラ板にとおす。かわいいチャームのできあがり。

授業の流れ

①家庭基礎で学ぶ内容

教科書目次を使い、生活が多岐にわたる内容の総合されたものであるということとともに、高校の家庭科では、さまざまな場面でマネジメント(計画し経営し、サポートする)の視点があることに気づかせる。

②人の一生とは・・・

人の一生とはどんな事柄をとおっていくのか、「私の場合」を写真でプレゼン。
私の大事なもの・ことや、困っていること、頑張ろうとしていることなどを伝える。
生徒にとってもこれから通る道であるとともに、私自身のことを知らせ、生徒にも自分自身を振り返ったり考えたりしたことを伝えやすいようにする。

③生徒の好きなものを発表

ちょっと話しやすい雰囲気になったところで、生徒が何でもいいから好きなもの・ことをみんなの前で話してもらう。
これは、次回、自分の振り返りにつなげることとなる。

④家庭科を学ぶ意義

人の生活はみんな違う。
好きなこと、大事なもの、やりたいこと、なりたいもの、ほしいもの・・・・・など、みんな違うし、それがない人もいる。
でも、生きていることは同じ。
同じように年齢を重ね、心身も変化していく。
そんな生き方や、生活の成り立ちなど、共通することを学び、体験しながら、自分の今を自分の考えで生き、未来を作っていく。
それが家庭科で学んでほしいこと。

⑤みんなの色を認めよう!プラ板づくり

前の項で記述した方法で作っていく。
図案を考えたり、色を塗るのにも人によって時間が違うけれど、10分程度で概ねみんな描くことができた。
焼くのは、好みによるけれど30秒~1分程度。
図を描いただけでは面白みがないが、焼いてみると予想外の形の変化、色や模様の凝縮にちょっと興奮気味。
1枚できてからは、次も次もと楽しんで作成していた。

生徒の様子

3枚程度は作成できるよう準備していたので、部活動の先輩にあげよう・・・とか、2枚つないで使おう・・・と、出来上がりを楽しみにしながら作成していた。

モノトーンでクールに作成する生徒。
他の生徒の図案に刺激を受け、下絵を共有して色を変えて描いて比べてみる子。
自分の好きなアイドルグループのイメージカラーで仕上げる子。
ステンドグラスをイメージする子。
熱による形の変化にこだわって、描きなおす子。

私が予想した以上に生徒の発想は豊かでバラエティに富んでいたし、工夫がみられた。
でき上ったものをすぐにペンケースにつけて嬉しそうに持ってくれる子もいた。
自分だけのオリジナルチャームの完成。私も嬉しい、楽しい。

生徒の感想

・みんなで一緒につくったら、コミュニケーションもとれて楽しかった。
・自分だけのプラ板を作れてたのしくでき、これからの家庭基礎が楽しくできそうです。
・どうやって曲がるかわからなくて面白かったです。作ってるものが人それぞれでよかった。
・文字ではなく形を描くといろんな形にプラ板が変形した時に面白い
1人1人の個性がめっちゃでていた!
・はじめてプラ板をつくってみていろんな方向に曲がるところが面白かったです。また、いろんなのを作っていきたいです。
・いつもとは違うやり方でプラ板を作ると△や□などのいろんな形ができて面白かったし、他の子のプラ板も自分と違っていろんなデザインや色があって楽しかったです。
・プラ板が自分らしくできてよかったし、楽しかったです。

ちなみに、この時間の振り返りでは、「自分だけのプラ板を楽しく工夫して作ることができた」は、ほとんどの生徒が「できた」と自己評価している。

おわりに

ガイダンスでのプラ板づくりの効果として、生徒は次の4点について得たと思う。

①自分だけのものを作ることが楽しいことを実感すること
②他の人とコミュニケーションをとりながらのもの作りは楽しいし、より良いものにできること。③自分らしいものを作り上げるとともに、他の人の作ったものの個性を認めること。
④色、形で自分を表現することは自分自身のことを振り返り考える時間となったこと。

生活は自分自身がつくるもの。他の人と違っていい。
自分の生活を今後どのように作っていくか、違う考えの人を認めることにつながっていくような非言語的コミュニケーションとなったと考えている。
また、ものづくりへの意欲をたかめるための最初の一歩となったと考えている。
休み時間に、プラ板の模様に込めた思いや色彩の知識を説明してくれた生徒がいた。ちょっと目頭が熱くなるような体験も話してくれた生徒もいた。

言語での発信は大切だが、楽しんで活動することや言語以外のもので表現することもステキな発信である。家庭科には言語以外の表現もたくさんあるので、自分を表現し発信する楽しさも体感してほしい。

家庭基礎という科目だけで何ができるのかということではあるが、この時間だけは自分のこと、自分の生活を考えよりよい自分、より良い生活、そしてより良い未来に夢を膨らませることを願う。

幸せはそこにある。

 

タイトルとURLをコピーしました