家庭基礎の被服分野では
被服の補修が適切にできることが大切な目標のひとつ。
とはいえ、子どもたちの技術の習得度合いは同じではないので
すすめ方に苦労をする。
被服実技指導の実態と私の願い
「針を持つのは久しぶり」「なんかやった気がする」という子どもがほとんど。
一方で、何も教えなくても並縫い、本返し縫い、まつり縫い、ボタン付け・・・
などをサクサクこなしていく子どももいる。
生徒の間を走り回りながら、
「そんな針の持ち方をしては危ない」だとか「効率的じゃないでしょ」
逆に「もうそんなにできたの?すごい!」と一人一人に声をかける。
進捗の違いをみて
どうしよう・・・と思うことしばしばである。
うまくできる子にはもっと作る楽しさを実感してほしいし
うまくできない子には、とりあえずたくさん縫って「針と糸」と仲良くなってほしいと思う。
題材の工夫~実技習得の終わりに~
そこで、縫う技術を習得する最終の教材に
刺子で好きな図柄を縫う教材を提示してみた。
作るのは「刺し子のミニマット」
刺子は、日本の伝統的な縫い方で
本来は、布に強度をもたせたり、補修をするために活用されていたものである。
大きなものでは柔道着など、小さなものでは布巾がある。
今回はミニマットを作ってみた。
刺子のミニマットを作ろう
ミニマットとは?
コースターよりも大きく、布巾よりは小さい。
晒で作れるもの・・・と思い私が名付けた。
15㎝四辺のさらしで作ったテーブルウエア。
1 材料
<材料>ミニマット1枚分
・晒の反物を17cm長さに切ったもの 1枚
※晒は約34㎝幅、1反1000円前後で売られているので
買っておくと、あれこれ使えて便利。
・白色の手縫い糸(さらしを縫うもの)
・手縫い針
・刺子針
・刺子糸
(図案に合わせてそろえる。たくさんあるとよい)
※私は100円ショップの刺繍糸をたくさん買って
3本どりで使った。
・図案も準備しておくとよい。
2 作り方
youtubeでも紹介しているので参考にしてもらえれば幸いです。
1 さらしを半分に折る。
2 半分に周囲から2㎝程度に四角く囲むようにチャコペンシルで線を引く。
3 別紙に、2で書いた四角内にように刺し子の図案を書く。
4 2の布の四角内にチャコペンシルで図案を書く。
さらしの下に3の図を敷いて写すこともできる。
2で薄い紙を準備しておけば、絵が苦手な子どもも
好きなイラストをトレースすることができる。
5 布をマット用に縫い始める。
まず中表にして、普通の縫い針と手縫い糸を使って、周囲5mm程度の部分を縫う。
晒なので、一辺はみみだから、2辺だけ縫って裏返す。
表にして形を整える。
6 周囲を刺していく。
刺し子をするときは、重ねた2枚を一度に縫います。
・刺し子針と,刺し子糸(または刺繍糸3本どり)を使いましょう。
手縫い針で縫っても良いでしょう。ただし、手縫い糸はカラフルに
たくさんの色をそろえておきましょう。
縫いはじめは、3針先から縫い返して、縫い始める。
縫い終わりは縫い終わりから、3針縫い返す。
返し縫いが難しくてなじめなければ
玉結びで始めて、玉留めで終わらせてもよいでしょう。
7 周囲が終わったら、描いた図案通りに並縫いの要領で刺し子を刺す。
細かい部分は、1針ずつ縫っていくようにするときれいに縫える。
生徒の感想
そんなに高度な技術を修得していなくても
自分の好きな図柄に沿って楽しそうに針を動かすい様子が見られた。
「何色を使うとかわいくできるか」とか考えこんだり
「細かくて難しい」と苦労をしながらも
一度すると「刺し子をしたい」という子どもは。
一針一針縫ううちに、楽しさも感じることができるし
なんといっても、作品ができあがるので
達成感が味わえる。
「もっと上手に作りたい」とか「早く仕上げたい」と
持ち帰って製作してくる子どももいた。
私が予想した以上に、「自分で考えたものを」「自分で作る」ことに
楽しさや喜びを感じたり、ほかの生徒の図がらや色遣いに触発されたりと
意欲的な姿も見られた。
おわりに
市販の刺し子のコースターを全員の題材としたこともあるが
進度に差が出たことと、価格や難易度のことを考え、
市販のキットは使わないことにした。
しかし、補修の技術の習得に加えて
縫い進めることの楽しさを味わい
日本の伝統的な刺し子の技術にも触れてもらいたいという思いがあり、
刺し子のミニマットづくりをしてみた。
なみ縫いだけでできるので
難易度はそう高くない。
コースターより大きいので、図案も大きくかけて縫いやすい。
逆に布巾よりも小さいので、多くの時間を費やすこともない。
基礎縫いの練習の延長なので
用具もほとんど変わらず、実施できる。
子どもたちの様子から
うまくできたことを実感できているうちに、
自分の思いの詰まった製作物をつくることで
作る喜びを味わわせることができたのではないかと
考えている。
刺し子の題材に、自ら進んで意欲的に取り組むことが、
技術の向上や、縫うことの楽しみを味わうこととなったと考えている。
また、趣味の広がりや日本文化の伝承にも一役買うのではないだろうか。
子どもたちに楽しんでもらいたいという思いから
私も季節の花をテーマにして刺し子を作るようになった。
「今月は何を作ろうかな?」と思いを巡らせながら
散歩をしたり景色を眺めたりするのが
私の楽しみの一つになっている。
子どもが喜ぶ題材を考えるなら
「自分が楽しくワクワクするものじゃなきゃ」と
改めて思わされた題材だった。

