家庭総合も家庭基礎も
高校家庭科の基礎科目として、自分の一生を見通して
生活の在り方を考え、自立のための知識・技術を身につける。
自分の一生を見通すなんて、なかなか容易なことではない。
さらに、生徒がその必要性を感じるかどうかも大きな課題。
それでも、家庭基礎を学ぶときに
常に根底に自分の一生を見通す視点がないと学びが浅くなってしまうので
まずは、生徒に「自分の生き方を考えるって面白い」と思わせたい。
自分の一生を見通す時には、自分を知ることが第一歩となる。
まずは自分と向き合わなければ、これからのことなんて考えられない。
いきなり「これからの一生を考えてみよう」と
5年後、10年後、20年後・・・の自分を考えさせたことがある。
中にはきちんと向き合って自分のことをしっかりと書ける生徒もいたが
ほぼ似たような内容かあるいは何も書けないか、書かない生徒もいた。
なんでなん?と、不服気にワークシートを見たものの
自分が高校生の時にこんなワークシートをいきなり出されたら
きちんとかけていたかなと自分に問うた。
無理。
なので、まず自分と対話し、自分を知ることから、始め
5年後、10年後・・・の自分は
授業の内容に応じて折々に考えるようにした。
自分の一生を見通すためのはじめの授業を次のように組み立てた。
2 自分を知る。~自分と向き合う活動~
3 自分に期待することを考える。
1 ライフステージを理解する。
まずはガイダンスで使った私の自己紹介の写真について取り上げ
私がライフステージのどこにいるかなどの話を交えながら
ライフステージについて説明する。
教科書には、ライフステージそれぞれの特徴や課題の例をまとめているものが多いので
そこを読み込ませるために、生徒に各ライフステージに関しての問題を解かせるのも
理解を深めるのによい方法。
生徒自身は今「青年期」にあり、アイデンティティの確立や
自立のための準備段階でもあることを特に押さえたい。
2 自分を知る。~自分と向き合う活動~
自分自身の理解ほど難しいことはないと思う。
自分を理解する過程で肯定的に自分と向き合ってほしいので
好きなことやもの、人などを書かせる。
これは、時間がかかるが、とにかく真剣に考えて絞り出すように促す。
20分程度はかかり、それでも書けない項目のある生徒もいる。
書けなくてもいい、なぜなら目的は、自分のことを考え、向き合うことだから。
好きなことを公言してOKな生徒もいれば、人に知られたくないという生徒もいるので
むやみに生徒の書いたものについて読み上げるようなことはしない。
「私しか読まないから自分のことを考えてみて」と呼びかけて取り組ませる。
とはいえ、発表したい生徒もいるから、発表の場も必要。
時間のある時には、私への自己紹介文として書いたことをもとにまとめることもあるが
書けない生徒もいる。
今後、授業の中で自分自身のことを発表する際には配慮するようにしている。
3 自分に期待することを考える。
自分がいるライフステージの課題を知り、自分自身を知ったあと
今の自分と将来の自分に期待することを考えさせる。
「将来の夢」
「自分は今自分がどうあればよいか、あるいは何をしなければいけないのか」
という項目を並べて考えさせる。
夢は職業でも、暮らし方でも思いつくものを書かせる。
夢と今の自分の間を埋めることを考えれば、
スモールステップで夢を達成するための今の自分の課題が見えてくる。
・・・というのは理想で、これも今の自分の課題を考えるきっかけになればよい
と思っている。
おわりに
今回行った自分のことを知る作業は、家庭基礎全体を通してのフッキングとして
とても効果的だと考えている。自分を知らない自分を気づけるから。
答えを考え続け、学ぶことで変わっていく自分を意識させたい。
生徒の本時の振り返りでは
「自分のことを分かっていないことに気が付いた」とか
「自分のことを考えるきっかけとなった」というコメントが多い。
NHKの番組「あおきいろ」の「君の声が聴きたい」というコーナーで
養老孟司先生が「いい人生」について語られていたこと。なるほど!
いい人生は死んでみなけりゃわからないけど、死んだときは自分がいないから
自分では決められない。決められるのは生き方だとおしゃっていた。
その時々に必要なことをやり、時間があれば好きなことをする生き方。
好きなことをすると無心になれるから新しいものも見えてくる。
ああしよう、こうしよう、いい人生を送ろうという風に考えるのではなく
目の前の必要な作業をして、時々無心になれる好きなことができれば
いい人生ではないかなと。
ステキです。
その時々に必要な作業を誠実に丁寧にすると
自分が無心になれる好きなこともみえてくるのかもしれない。
その逆もあるかもしれない。
生き方を考えるって楽しい。
この養老先生のメッセージは生徒にも伝えたい。
生徒が、どうやってこれから自分のことを知ろうかと思ってくれたら嬉しい。
これから、自分ともっと対話をしながら、自分の生き方を考えていく。
今年の家庭基礎は始まったばかり。

